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千葉地方裁判所 昭和31年(行)6号 判決

原告 山中喜見代

被告 千葉県知事

主文

別紙目録記載の各農地につき、被告千葉県知事がなした各売渡処分および交換処分が無効であることの確認を求める原告の訴を却下する。

被告千葉県知事が別紙目録記載第八、第九の農地につき、昭和二三年七月二日を買収の時期としてなした買収処分を取り消す。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを五分し、その二を被告、その余を原告の各負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告千葉県知事が別紙目録記載第一ないし第七の農地につき、昭和二二年一〇月二日を、同第八、第九の農地につき、昭和二三年七月二日を、それぞれ買収の時期としてなした各買収処分、ならびに同第一、第三、第四、第八、第九の農地につき、昭和二九年一一月一日を、同第二の農地につき、昭和三〇年三月一日を、それぞれ売渡の時期としてなした各売渡処分、同第五ないし第七の農地につき、昭和二二年一〇月二日をそれぞれ交換の時期としてなした各交換処分は、いずれも無効であることを確認する。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求原因として、

一、別紙目録記載の各農地は、原告が昭和一四年に他から買い受けて所有権を取得したものである。

二、被告千葉県知事は、右各農地につき船橋市農地委員会が定めた買収計画に基づき、自作農創設特別措置法(以下「自創法」という。)第三条第一項第一号に該当する農地として、別紙目録記載第一ないし第七の農地については昭和二二年一〇月二日を、同第八、第九の農地については昭和二三年七月二日を、それぞれ買収の時期とする買収処分をなし、さらに、同第一、第三、第四の農地については昭和二九年一一月一日を売渡の時期として訴外石井信男に、同第八、第九の農地については昭和二九年一一月一日を売渡の時期として訴外石井富造に、同第二の農地については昭和三〇年三月一日を売渡の時期として訴外石井実に、それぞれ売渡処分をなし、同第五の農地については訴外斉木由之助に、同第六の農地については訴外小川源一郎に、同第七の農地については訴外江川豊に、それぞれ昭和二二年一〇月二日を期日として交換による所有権移転の処分をなした。

三、しかしながら、本件農地の買収処分には次のような違法があるため当然無効であり、従つてこれに基づいてなされた各売渡および交換処分もまた当然無効である。

(一)  原告は、昭和一四年一〇月本件農地の所有権を取得したが、昭和一九年一一月市川市鬼高の父山中松右衞門の住居から船橋市海神町北一丁目二〇八番地福本已之助方に疎開のため住居を移し、翌二〇年一〇月ごろから住所を船橋市海神町一丁目二〇八番地と定め、右住所決定の事実を明確にするため、昭和二一年八月二三日船橋市長に対し前記場所に住所を定めた旨の寄留届をなし、本件農地についても土地登記簿上の所有者の表示に、昭和二一年九月一一日付をもつて寄留により前記場所に住所を移転した旨の登記手続がなされている。原告は、市川市所在国府台女子学院に学び、昭和二五年三月同学院高等部を卒業したものであるが、同学院高等部第一学年修業に至るまで右住所から通学していた。しかして、本件農地の買収の時期と定められた昭和二二年一〇月二日および昭和二三年七月二日当時も前記場所を生活の本拠としていたから、原告の住所と本件農地の所在地は、いずれも船橋市の区域内にあり、原告はいわゆる在村地主である。在村地主を不在地主と誤認して自創法第三条第一項第一号によりなした買収処分は当然無効である。

(二)  政府が自創法第三条の規定による買収をするには、市町村農地委員会の定める農地買収計画によらなければならず(同法第六条第一項)、市町村農地委員会は、農地買収計画を定めたときは、遅滞なくその旨を公告し、かつ公告の日から一〇日間市町村の事務所において、買収すべき農地の所有者の氏名、住所、農地の所在、地目、面積等を記載した書類を縦覧に供しなければならない(同条第五項)。しかるに、船橋市農地委員会において右手続を履践したと思料せられる事実は存在しない。そうすると、被告は本件農地を前記法条に基づく買収計画を定めることなくして買収処分をしたことになり、その違法なることもまた当然である。

(三)  自創法第九条によれば、農地の買収は「当該農地の所有者に対し買収令書を交付してこれをしなければならない」と規定し、当該所有者に対して買収令書を交付することを買収処分の効力発生の要件としている。原告は本件農地の買収当時は前記のとおり船橋市海神町北一丁目二〇八番地に居住していて、これを住所としていたのであるから、被告は本件農地につき買収処分をするためには、原告の住所である前記場所へ買収令書を送達しなければならない。しかるに、被告はこのような送達をしないで買収処分をしたものであるから、本件買収処分は無効である(買収令書交付が買収処分の効力発生要件である以上、本件買収処分は未だその効力を生じていないことになる。)。

(四)  本件農地は船橋市と市川市の境界附近にあり、北部は人家密集の住宅地区に近接し、一、二分の行程で国鉄下総中山駅ホームに到り、西部は道路をへだてて住宅地区に接し、東部は船橋市立小栗原小学校の校舎および校庭に接し、南部は幅員六米余の放水路(新川)に近接し、完全な住宅地区を形成している。従つて本件農地は現況農地とはいえ、住宅地に変更されることは時をまたないところである。事実、本件農地に近接し、本件農地と同時に買収処分を受けた原告所有土地の一部約六〇〇坪は、前記小栗原小学校用地として使用され、その後原告に売り渡され、別紙目録記載第八、第九の農地と同第五の農地との中間農地は昭和三三年ごろ住宅地に転用せられ、小栗原小学校の東部にある同第六の農地に隣接した北部の農地は昭和三一年ごろまでに殆んど全部宅地に転用せられている。すなわち、本件農地は自創法第五条第五号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当することは明らかである。従つて船橋市農地委員会は千葉県農地委員会の承認を得て買収除外の指定をなすべきであつたにもかかわらず、これをしないで買収計画を定めたことは違法であり、このような買収計画に基づいて被告のなした本件買収処分は無効である。

四、よつて本件農地につき、被告のなした買収処分はいずれも、無効であり、その有効であることを前提としてなされた前記各売渡処分および交換処分もまた当然無効である。よつてその無効確認を求めるため本訴に及んだ。

と述べ、被告の主張に対し、

(一)  被告は買収令書交付の確認ができなかつたので、昭和二五年二月一三日千葉県報に登載して公告したと主張するが、右公告は自創法第九条第一項但書に違反し無効である。すなわち、本件のような場合には、被告は本件農地の所在する船橋市農地委員会に買収令書の交付方を委嘱し、右農地委員会において原告の住所である船橋市海神町北一丁目二〇八番地に送達するか、原告に出頭を求めてこれを交付するか、あるいは右農地委員会において原告の住所を市川市鬼高の山中松右衞門方と認定するならば、市川市農地委員会を通じてこれを交付するのが通例であつたのに、被告は買収令書の交付方を船橋市農地委員会に委嘱した事実や、同農地委員会がこれを自ら、あるいは市川市農地委員会を通じて原告に交付せんとした事実がいずれも不明確で、これを裏付けるものがなんらなく、また被告が自ら直接原告に交付せんとした事実もなかつたから、本件農地の所有者が知れないとき、または買収令書の交付ができなかつたときに該当するものではなく、却つて本件農地の所有者が原告で、原告の住所も明らかであつたから、買収令書を所有者に交付する方法によらず、交付に代え、県報に登載して公告したのは違法である。

(二)  被告が別紙目録記載第一ないし第七の農地につき、その買収対価六、八六四円四〇銭を昭和二五年四月二四日、千葉地方法務局に供託したことは不知、原告が右供託された対価を同年七月二四日受領したことは否認する。また、同第八、第九の農地につき、その買収対価九二二円三五銭を昭和二五年四月二八日同法務局に供託したことは知らない。

乙第一三、一四号証、同第一六号証の一ないし七によれば、原告が別紙目録記載第一ないし第七の農地の買収対価を昭和二五年七月二四日に受領した旨の記載がなされているが、これは原告に関係なく、なんらの権限をも有しない第三者により右乙第一六号証の一ないし四、七の文書が作成せられ、右第三者により不正に受領されたものである。すなわち、原告側の調査したところによれば、原告の父山中松右衞門の経営している山中軽金属工業株式会社の社員であつた訴外本間中三が、原告所有の右農地が買収せられることを探知するや、その買収対価の騙取を企て、千葉県農地開拓課係員の不注意に乗じ、右農地の買収対価供託還付に必要な書類の交付を受け、当時松右衞門の命によりその印鑑証明書の交付を受けたことがあり、かつ前記会社内における右印鑑の保管場所を知つているのを利用して、右印鑑盗用のうえ、右供託金の還付を受け、その際右訴外人は、農地証券は換金が容易でないことを知つて、これが還付手続を中止してこれを受領しなかつたとの事実が推測された。

(三)  被告が昭和三三年一二月六日、農地法施行法第二条第一項第一号により改めて乙第四号証および同第一〇号証と同一内容の買収令書を発行して原告に送達し、同月一七日原告がその交付を受けた事実は認める。

被告は、予備的に右のように改めて同一内容の買収令書を発行して原告に送達交付したから、令書交付に関する瑕疵は補完されたと主張するが、右主張は理由がない。すなわち、

(イ)  農地法施行法は、自創法がほぼその目的を達成したので、その効果の完成、維持を図る必要と、旧農地関係法規のうち、ポツダム勅令によるものが平和条約発効に伴いその効力を失うので、その効力を維持することおよび錯雑せる旧農地関係法規を整理することを目的として農地法(昭和二七年七月一五日法律第二二九号)が立法されたことによつて「旧農地関係法規から農地法に移ります経過的の時期におきまして、従来進行しておりますところの手続の或るものは従来の法律によつてそのまま行う、或るものは農地法の新しい法律にもとづいて措置するという技術的の規定でございます。」(昭和二七年四月一五日参議院農林委員会における農地法施行法案についての平川農林省農地局長の提案趣旨説明)との立法趣旨により制定されたものである。従つて農地法施行法は一般の法律の附則に見られる経過的規定と同一の性質を有するものではあるが、旧農地関係法規が複雑であつたので、これを農地法に引き継ぐ経過的措置も多岐にわたつたため、独立の法律として制定されたにすぎない。経過規定というものは、新法と旧法との時間的境界にまたがつている法律事実を対象として、それについて新旧いずれの法律を適用せしめるかを決定するものであり、経過的規定自体によつて直接に実体関係に効力を生ずるものではない。従つて農地法施行法第二条第一項の「農地法施行の時までに買収………の効力が生じていないもの」とは、農地買収処分の一連の手続の途中にあつて、未だ終局的に効力を発生するための手続を残している場合を指し、一旦手続が完結したのちにその一部が無効となつたために結局効力を発生しなくなつた場合等を指すものではないと解すべきである。本件についていえば、被告千葉県知事による農地買収処分は、買収令書の交付に代わる県報での公告によつて形式的に完結しているのであり、行政処分には公定力があるから、一旦形式的に成立すれば適法な機関による無効の確認または取消がなされるまでは有効なものとして取扱われるのである。従つて本件公告による農地買収処分はその意味において未だ効力を有しているのであるから、右条項にいう「買収の効力が生じていないもの」に該当せず、これについて農地法施行法の適用を見る余地はない。右法条は農地買収処分の一連の手続の未だ中途にあり、形式的にも完結していないものについてのみ適用されるものといわなければならない。

(ロ)  もし本件において、農地法施行法第二条第一項の適用があるとすると、後の買収令書交付と前の県報での公告と二つの処分が存在することとなる。この両者が併存するとき、一般に後行処分によつて前行処分が取り消されるものと解されるのであるが、かくては同条項の「買収の効力が生じていないもの」の明文に反し、効力が生じているものを取り消すこととなる。従つて同条項は取消というような事態を許していないと解されるうえに、取消は取消されるべき行為の根拠法令に基づいてなされなければならないのに、根拠法令たる自創法がすでに農地法施行法第一条により廃止されているから、自創法に基づく行政処分の取消は同法廃止後においては許されないものと解すべきである。

(四)  被告は本件再度の買収令書の交付は予備的になしたものであると主張するが、裁判上の判断の順序としての主張であるならばともかく、現実に国民の権利義務を拘束する形成的行政処分たる本件につき、予備的行政処分ということの許されないことは明らかである。しかも右再度送達された買収令書には予備的である旨の記載はないのであり、行政処分においては表見主義が支配するものである以上、右のようにその表示を欠くものはその効果を被処分者に対抗し得ないものである。また、もし予備的になす意思であつたとすると、行政庁の意思と外部に表明された意思とは明らかに齟齬するものであるから無効たるべきものといわなければならない。

(五)  仮に農地法施行法第二条第一項により再度の買収令書交付が許されるとしても、県報での公告は昭和二五年に行われたものであり、その後これが瑕疵を補正する機会は十分にありながら、昭和三三年一二月一七日までこれをしなかつたものであつて、八年余を経過した今日に至りこれをなすのは国民に対する権力行使の濫用であり、権利濫用として許すべからざるものである。

と述べた。

(証拠省略)

被告訴訟代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、請求原因事実に対する答弁として、

一、原告主張の一および二の事実は認める。三の事実については、原告がその主張のころ、市川市所在国府台女子学院に通学していたこと、本件農地(ただし別紙目録記載第一ないし第七の農地)とともに原告から買収した土地の一部約六〇〇坪が、小栗原小学校用地として使用されるに至り、原告に売り渡されたことは認めるが、その余の事実は後記被告の主張に反する限度において否認する。

二、本件農地のうち、別紙目録記載第一、第三、第四の農地は訴外石井信男が同人の父浪蔵の時代から約四五年間にわたつて引続き賃借耕作しており、同第八、第九の農地は訴外石井富造が昭和一一年ごろから賃借耕作しており、同第二、第五ないし第七の農地は訴外石井善吉(石井実の父)が二五年位前から賃借耕作しているいずれも小作地である。原告は昭和二一年八月二三日船橋市海神町北一丁目二〇八番地福本已之助方に寄留の届出をし、同年九月一一日本件農地の登記簿上の所有者の住所も同所に変更する旨付記登記を受けたが、原告の住所は依然として市川市鬼高一、二四〇番地の実家であると認めるのが相当であるから、本件農地は自創法第三条第一項第一号に該当するものとして買収処分をなしたものである。それは原告の船橋市への転居が事実であるとしても、就学のため一時寄留したものにすぎないので、自創法第四条第二項の反対解釈から同人の住所は、なお市川市の実家にあることとなるためである(なお最後段参照)。

三、本件農地は前述のとおり自創法第三条第一項第七号に該当するものであるところから、船橋市農地委員会は別紙目録記載第一ないし第七の農地については昭和二二年七月七日買収計画を樹立し、同月三〇日公示するとともに、その旨原告に通知し、八月二日から一二日まで一〇日間関係書類を縦覧に供したが、異議申立も訴願もなかつたので、同年一〇月二日千葉県農地委員会の承認を受けて右買収計画は確定した。よつて被告千葉県知事は右農地について昭和二二年一〇月二日を買収の時期とする買収令書を発行し、船橋市農地委員会を経由して原告に発送したが、右買収令書の返送はなかつた。しかし当時買収令書受領証の提出もなく、これが交付の確認ができなかつたので念のため昭和二五年二月二八日千葉県報に登載して公告し(もつとも原告はその後買収令書の受領証を提出した。)、その対価六、八六四円四〇銭は同年四月二四日千葉地方法務局に供託した。そして原告は同年七月二四日右供託金を受領している。

また、別紙目録記載第八、第九の農地についても右理由により昭和二三年四月二六日買収計画を議決し、同月二六日公示するとともに、この旨原告に通知し、五月一〇日から二〇日まで関係書類を縦覧に供したが、異議申立も訴願もなかつたので、同年七月二日千葉県農地委員会の承認を受け右買収計画は確定した。よつて被告千葉県知事は右農地について昭和二三年七月二日を買収の時期とする買収令書を発行し、船橋市農地委員会を経由して原告に発送した。そして右買収令書の返送等はなかつたのであるが、受領証の提出もなく、これが交付の確認ができなかつたので、念のため昭和二五年二月一三日千葉県報に登載して公告し、その対価九二二円三五銭は同年四月二八日千葉地方法務局に供託した。

ただ原告は、前述のように船橋市に寄留の届出をし、住所変更の登記までしてあつたので、買収計画書、買収令書の住所の記載はその表示に従い、買収計画樹立の通知も買収令書も、その寄留先に送達手続をしたのである。右各買収令書は日付の日から一カ月くらい遅れて被告から地元農地委員会に送付し、地元農地委員会は令書到着の日から一〇日以内に名宛人に送達したものである(地元船橋市農地委員会には本件農地に関する買収令書の発送簿が存在しないので正確な日はわからない。)。

四、なお被告は予備的に昭和三三年一二月一六日農地法施行法(昭和二七年法律第二三〇号)第二条第一項第一号の規定に基づき、改めて前と同一内容の買収令書を発行して同月一七日原告に送達交付した。すなわち、農地法施行法第二条第一項は「左に掲げる農地で………農地法の施行の時までに買収………の効力が生じていないものは、なお従前の例により買収………するものとする。」と規定し、その第一号として自創法第六条第五項の規定による公告があつた農地買収計画にかかる農地を掲げているところからみれば、買収計画の公告がなされたのみで、その後の手続がなされていない農地につき自創法の規定に従つて以後の買収手続をなし得ることはもちろん、買収手続は一応終つたが、その一連の手続の一部に瑕疵があるため、買収処分の効果を生じていない農地についても、すでに買収計画の公告がなされている以上は、なお自創法の規定にしたがつて瑕疵を補完し得ることをも規定したものと解するのが相当であるところ、前の令書交付が明らかになるか、または公告による処分が有効とすれば後の令書交付は無用のものとなるが、前の令書が結局原告に届いていなかつたかまたは公告による処分が無効とすれば、一連の手続の一部に瑕疵があることになり、後の令書交付にもとづく処分によつて買収処分の効果が生じたことになるのである。

五、本件農地については、近く土地使用の目的を変更することを相当とする具体的計画があつたわけでもなく、その他近き将来に非農地化されることが必至と認められるような状況にもなかつた。従つて本件農地が自創法第五条第五号に当らないものとしてこれを買収するについて、なんら違法の点はない。仮に本件農地につき自創法第五条第五号の指定をすべきものであつたとしても、これをしないことが買収処分を無効ならしめる程の重大かつ明白な瑕疵となるものではない。例えば、農地でないものを農地として買収することは違法であるから取消事由となるが、それだけで当然に無効原因があるといい得るものではなく、無効原因があるためには農地と認定したことに重大かつ明白な誤認がある場合(例えば、すでにその地上に堅固な建物が存在するような純然たる宅地を農地と誤認して買収し、その誤認が何人の目にも明白であるというような場合)でなければならない(最高裁判所昭和三四年九月二二日第三小法廷判決参照)。しかして原告が本件について無効原因として主張する事実は自創法第五条第五号の指定をしなかつた誤認が重大かつ明白であることの具体的主張とはいい得ないから、この点に関する原告の主張は理由がない。

六、なお本件買収計画当時、原告の住所が船橋市にあつたとしても、本件のように特殊な事情のもとにおいて、被告が原告を不在地主と認定したことについては、前項での論旨のとおり重大かつ明白な誤認ではないから、本件買収処分を無効ならしめるものではない。

と述べた。

(証拠省略)

理由

一、成立に争いない乙第一、第二号証、第四、第五号証、第七ないし第一一号証、第十六号証の五その方式および趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第三号証に証人竹之内昇の証言および本件口頭弁論の全趣旨を総合すると、船橋市農地委員会は別紙目録記載第一ないし第七の農地につき、昭和二二年七月七日自創法第三条第一項第一号に該当する農地として買収計画を樹立し、同月三〇日公示するとともに、その旨の通知書を船橋市海神町北一丁目二〇八番地山中喜見代(原告)宛に郵便によつて発送し、同年八月二日から一二日まで関係書類を縦覧に供したが、異議申立も訴願もなく、千葉県農地委員会の承認により右買収計画は確定したこと、前記原告宛の郵便による通知書は名宛人尋ねあたらずとして船橋市農地委員会に返戻されたこと、被告千葉県知事は右農地について、昭和二二年一〇月二日に買収令書を発行して船橋市農地委員会に送付したこと、同委員会は別紙目録記載第八、第九の農地につき、昭和二三年四月二六日前記農地と同一の理由により買収計画を樹立し、同日ごろ公示するとともに、同年五月八日前同様その旨の原告宛通知書を宛所を前同様として郵便により発送し、五月一〇日から二〇日まで関係書類を縦覧に供したが、異議申立も訴願もなく、千葉県農地委員会の承認により右買収計画は確定したこと、前記通知書も同様の理由で船橋市農地委員会に返戻されたこと、被告千葉県知事は右農地について昭和二三年七月二日に同日を買収の時期とする買収令書を発行して船橋市農地委員会に送付したこと、被告千葉県知事は自創法第九条第一項但書の規定により、別紙目録記載第一ないし第七の農地については昭和二五年二月二八日千葉県告示第八八号をもつて同日付千葉県報に登載し、同第八、第九の農地については同年二月一三日千葉県告示第五九号をもつて同日付千葉県報に登載し、いずれも買収令書の交付に代える公告をしたことをそれぞれ認めることができ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。従つて本件買収処分につき自創法所定の買収計画の樹立およびこれに関する一連の手続が履践されていないとする原告の主張は理由がない(買収計画の樹立にあたり、この旨を被買収者に通知することは買収手続の要件ではないから、前記通知書が原告に到達しなかつたことをもつて買収手続に瑕疵があるとすることはできない。)。

二、原告は船橋市に住所を有する在村地主であるのに、本件農地を不在地主の所有する農地として買収するのは違法であると主張するから、この点について考察する。

成立に争いのない甲第一ないし第九号証、第一二号証、第三者の作成にかかり、その趣旨、形式その他弁論の全趣旨によつて真正に成立したものと認められる甲第一三号証、証人福本実、阿部はる、板垣洋子、山中み祢、山中松右衛門(第一回)、高橋敬一、田久保岩蔵の各証言を総合すると、

(一)  原告の父山中松右衛門は市川市鬼高一、二四〇番地に住宅と工場を所有し、妻み祢(原告の母)、原告(長女)ほか数人の子女とともに右住宅に居住し、製紙および金属加工業を営んでいたが、戦時中右工場は航空機関係の軍需工場となり軍の監督下にあつた。そして、昭和一九年一一月二三日ごろ、第一回の空襲があり工場附近に数発の爆弾が落下し、ついで昭和二〇年二月二〇日ごろ、焼夷弾による空襲で工場の一部が焼失した。

(二)  当時原告は市川小学校六年生であつたが、原告の父母はこのような状況のもとで原告を市川市の居宅に置くことは危険であると考え、昭和一九年一一月ごろ、船橋市海神町北一丁目二〇八番地の福本已之助(松右衛門の従兄弟)方に原告を単身疎開させ、原告は福本方から市川小学校に通学した。原告の母み祢は昭和二〇年三月半ばごろ、その余の子女を連れて郷里福島県へ疎開し、市川市の居宅には原告の父松右衛門のみが残つた。しかして、原告は昭和二〇年四月市川市所在国府台女子学院に入学し、福本方から通学するうち終戦となり、昭和二〇年一〇月ごろ、母み祢等も疎開先から市川市の居宅へ帰つたが、原告はなお福本方に止つていた。

(三)  その後農地改革の実施が巷間に喧伝され、不在地主の所有農地は買収されることがわかつたので、原告の父母は原告を市川市の父母のもとに帰すと不在地主として本件農地を買収されることとなるのを恐れ、なお原告を福本方にとどめたうえ、昭和二一年八月二三日右福本方へ寄留の届出をなし、そのころ、同所へ転出して食糧配給をも船橋市で受けるようにし、さらに同年九月一一日本件農地につき所有者の住所を船橋市海神町北一丁目二〇八番地と変更する旨の付記登記を受けた。そして原告は昭和二三年中まで右福本方から国府台女子学院に通学し、その後市川市の父母のもとに戻つた。

(四)  この間船橋市農地委員会においては、前段掲記のとおり本件農地につき買収計画を樹立して買収手続を進めたが、右買収手続にあたり船橋市海神町に住所を有する農地委員田久保岩蔵が、原告の住所を実地に調査した結果、原告が一五才余の未成年者であり、原告の父母が市川市に居住しているところから、登記簿上の住所の記載や配給台帳の所在等にかかわらず、原告の住所は市川市にあり、本件農地は不在地主所有の農地に該当すると認定した。しかして、前記買収計画樹立の通知は原告の登記簿上の住所宛に郵便に付して発送されたが宛先不明として返送されたのでそのままに放置しておいた。

との各事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

右の事実によれば、原告は空襲の危険を避けるために、父母の配慮でその膝下を離れて単身で船橋市へいわゆる「疎開」せしめられたもので、空襲の危険が去つた戦争終了後は当然旧住所に復帰すべき事情にあり、しかも未成年者であつて親権者たる父松右衛門は終始船橋市とは程遠からぬ市川市に住所を有したのであるから、船橋市の前記福本方は原告の居所たるに止まり、原告の生活の本拠たる住所は依然として市川市にあつたものといわなければならない。本件農地の登記簿上の住所の記載や寄留届出の事実も、不在地主としての農地買収を免れるため右居所を住所と仮装し、真実の住所を陰ぺいする手段として行われたものであることが明らかであり、このことによつて前記認定を覆えすことはできない。よつて本件農地を不在地主の所有する農地として買収したことについては違法はないというべきである。

三、次に原告は本件買収については原告に買収令書が交付されていないから買収処分は無効であると主張する。しかして本件農地については千葉県農地委員会の承認によつて買収計画が確定し、被告千葉県知事において昭和二二年一〇月二日および昭和二三年七月二日に各買収令書を発行して、船橋市農地委員会に送付したことは前段認定のとおりであるが、これが原告に交付されたことは遂にこれを認めるに足りる証拠がない。すなわち、証人竹之内昇の証言中、右買収令書を市川市農地委員会に嘱託して市川市の原告方宛に送つたとの趣旨の証言があるが、同証言の他の部分では令書送達の点は記憶がないと述べていることに徴してにわかに措信し難く、乙第六号証の別紙目録記載第一ないし第七の農地に関する買収令書を原告が受領した旨の受領証も、その成立が認められない以上これをもつて令書送達の証左とすることはできないのである。しかして前記認定の事実によれば、船橋市農地委員会は原告が市川市の父松右衛門方に住所を有することを知つていたのであるから、このような場合自創法第九条第一項但書にいう「農地の所有者が知れないとき、その他令書の交付をすることができないとき」に当らないのはもちろんであり、この規定に違反してなされた公告によつては買収令書の交付に代わる効力を生ずるものではない。従つて右公告のなされたことによつて本件買収処分が効力を生じたものとすることはできない。

四、しかして、被告は予備的に昭和三三年一二月一六日農地法施行法第二条第一項第一号の規定に基づき改めて前と同一内容の買収令書を発行して原告に交付したから、これによつて買収処分の効力が生じたと主張するところ、右再度の買収令書交付のあつた事実自体は当事者間に争いがない。原告は、農地法施行法は経過的規定であつて、同法第二条第一項の「農地法施行の時までに買収………の効力が生じていないもの」とは、農地買収処分の一連の手続の途中にあつて、未だ終局的に効力を発生するための手続を残している場合を指し、一旦手続を完結したのちにその一部が無効となつたために結局効力を発生しなくなつた場合等を指すものではないと主張するが、右の条項がこの文言に続いて「………は、なお従前の例により買収………するものとする。」と規定し、その第一号として自創法第六条第五項の規定による公告があつた農地買収計画にかかる農地を掲げているところからみれば、買収計画の公告がなされたのみでその後の手続がなされていない農地につき自創法の規定に従つて以後の買収手続をなし得ることはもちろん、買収手続は一応終つたが、その一連の手続の一部に瑕疵があるため買収処分の効果が生じていない農地についても、すでに買収計画の公告がなされている以上は、なお自創法の規定に従つて瑕疵を補完し得ることをも規定したものと解するのが相当である。原告は行政処分には公定力があるから適法な機関による無効の確認または取消がなされるまでは有効なものとして取扱われ、右条項にいう「買収の効力が生じていないもの」に該当しないと主張するが、当該処分をなした行政庁が処分の瑕疵を自認してこれを補完する処分をすることはなんら支障がなく、効力を生じているものを「後行処分によつて(前行処分を)取り消す」ことに当らないものといわなければならない。よつて本件農地の買収処分は昭和三三年一二月一六日の買収令書交付により効力を生じたものである。なお原告は県報での公告の行われた昭和二五年から再度の令書送達のあつた昭和三三年一二月までの間に瑕疵を補正する機会は十分にありながらこれをなさず、八年余を経過した今日これをなすのは権力行使の濫用として許されないと主張するが、本件のように行政庁の過失によつて買収令書の交付が買収計画確定の時から約一〇年後に行われたことは甚だ妥当を欠くけれども、このことのみによつて買収処分が無効となり、または取り消されるべき瑕疵を帯びるものとすることはできない。

五、次に原告は、本件農地は自創法第五条第五号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当し、船橋市農地委員会は千葉県農地委員会の承認を得て買収除外の指定をなすべきであつたにも拘わらず、これをしないで買収計画を定めたことは違法であり、このような買収計画に基づいて被告のなした買収処分は無効であると主張する。もとより自創法第五条第五号により「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」として指定されていない農地であつても、客観的に右の場合に該当するときは、これを買収することは違法である。しかして証人山中松右衛門の証言(第二回)により成立を認め得る甲第一四号証、右山中松右衛門の証言(第一、二回)および検証の結果によれば、「本件農地は国鉄総武本線下総中山駅の南側(駅本屋は北側にある)約二〇〇米ないし三〇〇米の個所において、船橋市立小栗原小学校の周囲に、別紙目録第八、第九の農地が駅に最も近く駅の真裏にあたり線路から約一〇〇米の所に、次に右農地から約一〇〇米距てた南側に同第一ないし第五の農地が一団となり、さらに少し離れて同第七の農地が存在する。第七の農地は、本件農地のうち、駅から最も遠く、東西に流れる江戸川放水路(新川)に接している。同第六の農地は右小学校の東側に幅員約五米の道路をはさんだところに存在し、国鉄総武本線踏切から約二〇〇米のところにある。小栗原小学校は本件買収計画樹立当時は存在せず、その後に新設されたものである。駅の本屋の存する総武線の北側は市川市中山町の繁華街であるが、駅の南側は駅に極く近接するところが住宅地となつているだけで、駅には南口も開設されておらず、商店街も存在しない。昭和三四年一二月一一日(検証の行われた日)当時、本件第八、第九の農地の北側(駅寄り)の土地はすでに宅地化され、新築間もない公衆浴場の建物があり、同所から駅までの間は全部宅地となり人家が建ちならんでおり、右第八、第九の農地の南側の隣地も最近埋立てられて宅地化されたものと認められ、新築間もない住家数棟の外現に建築中の建物も存在する。これらの土地の東側は小栗原小学校の校舎敷地および運動場に接し、西側は幅員約四米の道路をはさんで住宅および小工場地区に接している。別紙目録記載第一ないし第五の農地から同第七の農地を含む南側一帯は前記新川まで一帯の水田であり、さらに新川の南は純然たる農村地区となつて水田が続き、その間に点々と人家が散見し得る程度である。同第六の農地の北側の隣地は最近埋め立てられて宅地化されたものと認められ、新築間もない文房具店舖が建てられ、さらにその北側は総武線踏切まで人家が続いている。同第六の農地の東側および南側はいずれも水田であり、それに隣接して宅地となつているところや人家の建つているところはない。」との各事実を認めることができる。そうすると、再度発行された買収令書交付の時である昭和三三年一二月一六日当時においては、少なくとも同第八、第九の農地は近く宅地化されるべき状況にあつたと認められるが、その余の農地はなお近い将来において宅地化される状況にあつたと認めることはできない。

ところで、行政庁の違法な処分の取消または変更にかかる訴訟および行政処分の無効確認訴訟において、行政処分の効力は処分時の法および事実状態を基準として判断すべきであつて、判決時のそれを基準としてすべきではないといわなければならない。しかして、自創法による農地買収処分の実質上の違法を判断するにつき、処分時とはいつをいうのであろうか。買収計画樹立の時または右計画確定の時(異議却下または訴願棄却等の時)であろうか、買収令書発行の時またはその発効の時(令書送達等の時)であろうか。思うに知事は買収計画が確定しても買収令書を発行するまでに買収処分の要件たる事実状態に変動があつて買収処分を行うことが違法であると判断したときは、買収令書を発行しないことができると解せられるとともに、一旦発行した買収令書がなんらかの故障のため、被処分者に送達することができないままに長年月を経過し、さらにこれを送達して効力を発せしめんとする場合には、その間に買収処分の要件たる事実状態に変動があるかどうかを確め、これがあるときは、買収令書を送達すべきではなく、これなきときにのみ買収令書を送達して買収処分の効力を発生せしめるべきものといわなくてはならない。

そうすると、本件において被告は昭和三三年一二月一六日農地法施行法第二条第一項第一号の規定に基づいて改めて前と同一内容の買収令書を発行して原告に交付したのであるから、右昭和三三年一二月一六日が買収処分の効力判断の基準時であることが明らかである。

よつて、さらに進んで検討するに、本件検証の結果によれば、昭和三三年当時別紙目録記載第九の農地には陸稲が作られ、同第一ないし第八の農地(第八の農地は現況水田)には水稲が作られており、いずれも農地であつたことが認められる。しかして、右農地のうちには、近く土地使用の目的を変更し宅地化されるのが相当であるものの存することは前記のとおりであるが、これがあるためにこれを自創法第三条第一項第一号に該当する農地と判断して買収した本件処分に重大かつ明白な瑕疵があつたとなすことは相当ではない。よつて本件買収処分の無効確認を求める原告の請求は失当である。

しかしながら、本訴請求は右買収処分の無効確認を求めるというのであるが、原告が本訴を提起したのは昭和三一年五月二六日であつて、本件買収処分が本訴提起後昭和三三年一二月一六日の買収令書交付によつてその効力を生じたものであることは前に考察したとおりである。そうすると本訴は右処分が効力を生ずる以前に提起されている以上、取消訴訟の出訴期間内に提起されたものと考えることができるのであり、本件無効確認請求のうちには取消請求を含むと解するのが相当である(最高裁判所昭和三三年九月九日判決、民集一二巻一三号一、九四九頁参照)。しかして取消訴訟においては訴願を経ることを要するのであるが、本件のように処分の無効確認を求めて争訟中に取消訴訟の要件が具備された場合に、改めて訴願することは無用の手数であるから、訴願の裁決を経ないことについて正当の事由があるというべきである。

そこで本件農地が「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」であり、これを看過してなした買収処分が取消の理由たる瑕疵を帯びるかどうかについてさらに考察する。前段挙示の事実によれば、本件各農地につき、被告が前の買収令書を発行した昭和二二、三年当時において土地使用計画が具体化し、宅地化ないし建築の準備が整つているほどに土地使用目的変更の必要性が切迫していたものと認めることはできない。

しかしながら前段に認定したところによれば、被告が本件買収令書を原告に送達した昭和三三年十二月当時においては、別紙目録記載の第八、第九の農地は、その隣接地がすでに宅地化されており、客観的に「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当するに至つたものというべきであるが、その余の農地については、なお右の要件に当らないものというべきである。従つて別紙目録記載第八、第九の農地について、被告のなした本件買収処分は違法であり、取消を免れないものであるが、その余の農地についてはこれを取り消すべき理由はないといわなければならない。

六、原告は本件農地についてなされた売渡処分および交換処分の無効確認をも訴求しているが、買収処分が取り消されれば、国は当該土地の所有権を取得しないから、その土地の売渡処分は当然無効となり、行政庁は売渡処分をも無効として扱わなければならず、そうでない場合において右売渡処分等が無効であるとしても、本件農地の所有権は国に帰属する結果になるにすぎないから、自創法第一六条による売渡、農地法第八〇条等による売払を受け得る等特段の事情のない本件においては、原告はいずれにしても右売渡処分および交換処分の無効確認を求める利益を有しないものといわなければならない。

七、よつて、原告の本訴請求は、被告千葉県知事が別紙目録記載第八、第九の農地についてなした買収処分の取消を求める限度において正当であるから、これを認容し、その余の農地につき買収処分の無効確認または取消を求める部分は失当であるから棄却し、本件各農地につき被告千葉県知事のなした各売渡処分又は交換処分の無効確認を求める部分は不適法であるから訴を却下し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 猪俣幸一 岡村利男 辻忠雄)

(別紙目録省略)

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